日差しが強い時期になってきましたね。
紫外線もガンガン降り注いでいます。
皆さん、湿布にかぶれたことはありませんか?ちょっとしたかぶれ程度ならかゆみや炎症を抑える塗り薬で治療はできますが、湿布を貼った部分と紫外線と反応してひどくなってしまう「光線過敏症」という副作用があります。
何だか、どこかのヒーローの必殺技のような名前ですが、初めて聞かれる方も多いと思います。
「光線過敏症」は主にUVAが関係します。血圧を下げる薬(降圧薬)(特に利尿剤など)、化膿止めの薬(抗生物質)、痛み止め(消炎鎮痛薬)などで時に起こります。
薬以外にも、多形日光疹、慢性光線性皮膚炎がありますが、今回は良くある、経皮鎮痛消炎外用剤(いわゆる湿布ですね)で起こるものについて話します。
光線過敏症は湿布を貼っている間に日光に当たると出るというわけではなく、はがして数週間後にでも出る場合があります。
これは、薬剤の特性で、はがした後でも、皮膚に薬剤が残り続けるために起こります。
この光線過敏症で有名なものは「ケトプロフェン」という成分でできている湿布です。
このお薬に関しては湿布の袋にも「はがした後も4週間程度は貼っていた部分を日光に当てないよう」という記載があります。
欧米ではこの副作用の頻度は少ないものの、一般用医薬品での販売は中止になったようです。
しかし、最近のデータでは、ケトプロフェンが突出して光線過敏が多いわけではなく、ケトプロフェンの類似薬である(フルルビプロフェン、インドメタシン、フェルビナク)での比較で、やや、ケトプロフェンが高いものの大きな差はでなかったとの報告があります。
何故、この類似したお薬で光線過敏症がおこるのか? と言いますと、「構造」という、そのお薬の骨組みがあるのですが、その中に、ベンゾイル基という枝葉が含まれるためです。
これが、光線過敏を起こしやすくする物質というわけです。
では、このベンゾイル基を含まない(光線過敏を起こしにくい)湿布は? というと、あります!
それは、「ロキソプロフェン」という成分の外用剤です。これは、光線過敏を起こしにくいと言われています(湿布かぶれは人によってはもちろん出ます)
光線過敏症で、まだ注意をしないといけない点があります。
もし、湿布を貼ったなら、はがした後も、UVカットの衣類やサポーターで保護することや、紫外線防止にサンスクリーンをお勧めします。
しかし、サンスクリーンや化粧品、香水に「オクトクリレン」という成分が含まれているものがあります。
この成分は「ケトプロフェン」と共感作(お互いに反応し合う)し、光線過敏症を引き起こしやすくなるという報告があります。
「光線過敏症」の治療ですが、放っておいても悪化することが多く、病院を受診することをお勧めします。
ステロイド軟膏の外用が基本ですが、多くの場合、軟膏だけでは長引くことが多く、痒み止めの抗アレルギー薬と内服の少量のステロイドを使う場合が多いです。
色々なものが交差して、引き起こされる「光線過敏症」。
鹿児島は日本でも特に紫外線の強い地域ですので、皆さん、ご注意くださいませ。
最後に、「光線過敏症」の予防、注意点をまとめておきます。(最初からこれだけで良かったのでは?…とは思わないでくださいね)
○使用中、使用後は直射日光を避ける。
○特に「ケトプロフェン」を使った際には使用後、4週間は紫外線を避けること。(これは、湿布だけに限らず、ゲル剤、ローション剤、クリーム剤も同様です)
○紫外線を避けるために、UVカットの衣類やサポーターが有効
○サンスクリーンも紫外線防止には有効です。中でもUVAを防止するPA+++が望ましい。
○サンスクリーンで注意しないといけない点は「オクトクリレン・オキシベンゾン」を含まないものを使用すること。(これは化粧品や、香水にも含まれます)
うちのシルキー薬局で取り扱っている、ノブ、ドゥーエのサンスクリーンはどちらも含まれておりません。
お気軽に「光線過敏症」や「サンスクリーン」についてもご相談ください。
薬剤師 有村♂